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バカ丁寧に読むだけで

世界は驚くほど豊かになる

言葉は空中で突然生まれるわけじゃありません。

人の心と身体の中で生まれます。

たとえどんな文章でもつまらない文章なんてありません。

そこには間違いなく書き手の世界が表現されていて、

その人にしか見えない景色や感触が込められています。

だから、丁寧に・・・といっても、

ゆっくり読むというレベルじゃなく・・・。

たとえば今読んでいるこの文章をまずは30分、

何度も何度も、ただ読みます。

そして、同じように30分ほど読んだ人と集まって

どこがじぶんにとって響いたか、

そういうことを1時間から2時間ほど話します。

「言葉は」とこの人は書き始めている。「言葉は」と始めたのは、その人にとって書き始める前に何かが強くまとまった、その輪郭を感じる。

「わけじゃありません」と結んでいるところも、その輪郭の手触りのようなものがある。それはどういうものだろう。

「空中」は「なにもないところ」とどう違うのだろう?

「空中」としか言えない味わいとはどんなものなのだろう。

「人の心と身体の中」で生まれる言葉って、

なんだか不思議だけどよく分かるような。

この人はどんなイメージを持って書いたのだろう。

ここでのポイントは、

間違いや改善点を見つけるのでなく、

「バカ」がつくほどできるだけそのまま、

一つの文章を読み込んでいくこと。

書いた本人からするとドキドキですが、

そうして自分の文章を読み解かれるのは、

自分自身のことを読み解かれるのと似ています。

そして、自分の文章を読んだ人から、

自分自身の姿や自分の世界の見方を

教えてもらう。

これはそこらの占いとか性格診断なんかより、

よっぽど生々しくておもしろいんじゃないかな、

と思っています。

なにより、このとき起こっているのは、

書いた人と読む人の世界が交差して、

まったく新しい世界が生まれるような、

読むことと書くことの原点ともいえる体験なのです。

この「読む・書く・残す」探求ゼミ、

通称「書く講座」は、

そんなバカ丁寧に読む時間を

コツコツと積み重ねています。

・・・え?

「読んでばかりなのになんで

『書く講座』なのか」ですか?

それについては、少し立ち入った話になるので、

また次の機会にでも。

あるいはこちらの記事をご覧ください。

でも、気になるようなら、

ぜひ「書く講座」で直接お尋ねください。

少し驚いた顔をするかもしれませんが、

きっと喜んでお応えすると思います。

ぼくたちは、そういうことを話したり、

考えたりするのが大好きなのです。
 

「読む・書く・残す」探求ゼミ 普及委員会

委員長  小林 健司

副委員長 大谷 隆

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